昨日、私たちはクリスマス礼拝を共に守りました。暦の上でもクリスマスを待つこの時期、校内には1年で最も温かな空気が流れているように感じます。 クリスマスは、神さまが「どんな暗闇にも光を届ける」と約束してくださったできごとを思い返す季節です。それは派手なものではありませんが、たしかな「希望」という光です。この光を一人ひとりが心に受け取り、私たち自身もまた、世界を照らす存在でありたいと願う時にしましょう。

2学期をふりかえると、国内外で心を痛めるニュースが多くありました。今年の漢字には「熊」に象徴されるような環境の変化や、今も続く戦争、SNSを巡る議論、多発する自然災害など、未来に不安を感じることも少なくありません。こうした時代の中で、「自分に何ができるのだろう」と立ち止まってしまう人もいるかもしれません。
しかし私は、皆さん一人ひとりが、この時代を照らす「希望の光」になると確信しています。その光は、皆さんの何気ない振る舞いの中にすでに現れているからです。 例えば、来客や受験生への心地よい挨拶。それは本校が大切にしてきた素晴らしい文化です。さらに、私は皆さんの姿から、次のような「良さ」を感じています。
相手の気持ちを敏感に察する「感受性」
自分と違う考えを自然に受け入れる「しなやかさ」
新しいものを生み出す「創造力」
理不尽に対して「それは違う」と言える「誠実さ」
傷ついた人を見過ごせない「優しさ」
世界が揺れ動く今だからこそ、これらの資質はより一層輝きます。「当たり前」と思えるような小さな行動が、世界を照らす確かな一歩となるのです。
この学期、皆さんの素晴らしい姿を多く目にしました。 明星祭では準備から本気で協力し、当日の達成感あふれる表情が印象的でした。部活動でも、結果の良し悪しにかかわらず、仲間と切磋琢磨し、真っ直ぐに努力する姿がありました。また、それ以上に尊いのは「日常の優しさ」です。バスや電車で席を譲る姿、道案内をする姿、そして先日、近隣で倒れていた方を助け、地域の方から感謝のお電話をいただいたこともありました。こうした「他者への気づき」こそが、啓明らしさだと感じています。
クリスマス礼拝で朗読された『賢者の贈り物』は、互いのために一番大切なものを手放す物語でした。二人が贈り合ったのは「物」ではなく、「相手を喜ばせたい」という純粋な思いです。これこそが、効率や損得を超えた本当の「豊かさ」であり、人の心を照らす光です。
2000年前、イエス・キリストは貧しく不安に満ちた世界に生まれましたが、その小さな光は今も私たちを照らしています。皆さんの中にある光も、誰かの心を温め、未来を明るくする力を持っています。自分がその光を宿していることを、決して忘れないでください。
明日から冬休みに入りますが、どうぞ1人ひとりが安全に、健康に過ごしてください。思いもかけない事件や事故に巻き込まれないよう、自律した行動を心がけて過ごしてほしいと思いますし、良き経験も積み、学びを深める時間も持ってほしいと思います。そして3学期の始業式も、皆さんの元気な歌声で讃美歌を一緒に歌えることを楽しみにしています。
啓明学院中学校・高等学校
校長 指宿 力






