KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

3学期終業式のメッセージ

2025年3月24日

皆さん、おはようございます。

2月15日には高校の、3月14日は中学の3年生を送り出し、こうして1年生、2年生の皆さんと2024年度の終業の日を迎えることができることを嬉しく思っています。今年度は高2の修学旅行を海外で行えるなど、ようやく制約のない学校運営をすることができました。本当に苦悩し、苦労し、大変なことも多かったコロナ禍も、すっかり遠い昔のようになってしまいましたが、今後も感染症については気をつけていかねばなりません。いつ、何が起こるかわからないという危機感は持っていたいものです。

 

昨年8月には日向灘での地震が起こり、その後も南海トラフ地震を警戒して臨時情報が出続ける状況がありました。覚えていますか?阪神淡路地域では30年前の経験がありますので、皆さんも地震がどれだけ大きなパワーを持っているか伝え聞いていることと思います。だからといって、いつも、いつも、それを恐れて萎縮して過ごすことはありませんが、南海トラフ地震について、警戒が呼びかけられていることは心に留めておきましょう。そして万一の時はどうするか、学校でも4月以降にそのことを学ぶ時を持ちたいと考えていますが、皆さんも家族でそういったことを話題にして、もしもに備える意識を共に高めていくことができればと願っています。

 

さて、世間では大リーグの公式戦が日本で行われるということで、先週末から話題が集中していますが、昨日からは高校野球の選抜大会が甲子園球場で始まっています。去年の今頃、啓明ではこれに出場する学法石川高校の応援の準備をしていました。覚えている人もいるでしょう。去年は夏に白樺学園高校の応援もさせていただき、啓明の吹奏楽部は春夏甲子園連続出場となりました。

そして、そのこともあって今年度の4月の始業式で、私は学法石川高校で大切にしている「終わりを考えてから始める」という言葉を借りて皆さんにお話しました。新しい年度を迎えるにあたり、今年はあんなことをしたい、これに挑戦してみよう、こんな自分になろう、などと自分なりに考える中で、この学年が終わったときの自分がどうありたいと願うのか、是非しっかりと考えてみて取り組んでいってほしいと言ったのです。

 

学年が終わろうとしている今、皆さんのこの1年はどうだったでしょうか。そこにいるのは思い描いたような自分でしょうか。

毎日が充実して楽しかった、という人もたくさんいるでしょう。友達とのかけがえのない日々を愛しく思える人もいるでしょう。学校行事に目一杯取り組んだという人もいるでしょう。普段の皆さんの屈託のない笑顔や頑張っている姿は私をも喜ばせてくれましたし、励ましてくれる力になりました。

また、目標としていた学びができた、クラブで成果を上げることができた、夢が叶った、など満足する結果を得た人もいるでしょう。よく頑張った自分を褒めてあげてもいいかもしれませんね。

 

しかし、そうでない人もいることでしょう。結果は往々にして努力の産物であるとは思いますが、いろいろな要因で思い通りにならないこともあるので、結果のみで自分を断罪する必要はありません。しかし、去年も同じだった、そもそも毎年こうだということならば、根本的な原因は自分の中のどこかにあるはずです。

それが、自分が見たくない自分の弱さが原因だったり、自力ではいかんともしがたいものだったりすれば、悔しい思いをしている人もいることでしょう。

そんな人は「終わりを考えてから始める」の考えから学び、次は啓明を卒業する時に、そうありたい自分の姿を思い浮かべてみましょう。そうすると今の自分がこんなことではまだまだだな、と思えるかもしれませんし、目標も明確なものになることでしょう。

いつも同じ後悔をする自分をどう変えていくのか、と考えていくことは成長の一つのあり方です。ぜひこの春休み、こうしたことを考える時間を持ったり、思考を深める読書に浸ったりと有意義に過ごしてみましょう。そうすればきっと、4月から新しい学年に進む際に力になるはずですし、やがてやってくる卒業の日の自分に現れることなることでしょう。

 

ただ、考えてみると、私達は常に心の何処かで人生に関わることに正解を求めるのではないでしょうか。これをしたら思い通りの自分になれるという方法を教えてもらいたいとか、自分が成功する道が分かったら、それに向けて努力するのに、と皆さんは思ったことはないでしょうか。

そういった人生の正解について教えてもらいたいという気持ちは多くの人が持っているものではないかと思うのです。人は誰でも不安だからです。

しかし、すぐにこうしたら成功するよとか、こうすると得する、しないと損する、とか人生を損得勘定で話をするような人とは距離を置いたほうがよいと私は思っています。実際にはそのような近道は人生にはないからです。日々の歩みというものは膨大なうまく行かないことの積み重ねかもしれませんが、それでも自分の人生は他の誰かに変わってもらえるものでもないのです。

 

学法石川高校で大切にしているという「終わりを考えてから始める」という言葉はベストセラーにもなった「7つの習慣」という本で紹介されている、長期にわたって望む結果を得続けるための7つの原則の一つです。この本で「終わりを考えてから始める」は二番目に大事な原則として書かれているのですが、最初に出てくる言葉は「主体的である」ということです。

「主体的である」ということは、選択と決定を繰り返す自分が、結果的に選んだ人生の責任を引き受けることもあるのですが、それは他の誰でもない自分自身を受け入れて、覚悟を持って生きるということです。

 

自分が自分であることを大切にし、その自分づくりの土台を固めることが大事なこの中高時代においては、他の誰でもない、なりたい自分の姿を目指して、コツコツ努力をしたり、じっくり考えを深めたりすることが大切だと思うのです。そして皆にはその先にいるであろう成長した自分と会えることを信じて、次の学年も頑張ってほしいと願っているのです。

失敗すらも成長の大きな糧になるのが人生であるはずですから、今、後悔がある人はそれを糧にしていけばいいのです。皆はこれからなりたい自分になれる力や環境を神様から与えられているのです。そしてそんな自分になろうとする一人ひとりを応援するこの啓明学院での学校生活は、まさにそのための日々を送る舞台です。

その在学中をどう過ごすかが皆の主体性に委ねられています。次の学年はどう過ごすか、とか、どんな人生を生きるのか、ということは皆さん自身の毎日の、一瞬一瞬の選択と決定の産物であるのです。

 

明日からの春休み、それほど長くありませんが、新しい学年の新学期、目指す自分に向かって雄々しく一歩を踏み出す皆さんのよい準備の時としていきましょう。そして4月にはまた新たにやってくる新入生に、皆さんの前向きな姿を示し、これが啓明生だ、啓明生はこうである、と伝えてやってほしいのです。だからこそ、この春休みは重要です。

では、一人一人のこの年の歩みの上に神様の祝福が豊かにあることを祈るとともに、明日からの春休みの安全を心から願っています。4月の始業式には元気な顔を見せてください。よい春休みを過ごしてください。

 

2025年3月19日

指宿 力