KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

入学式 式辞 (中学)

2022年4月2日

中学入学式のメッセージ

 

新入生の皆さん、啓明学院中学校ご入学本当におめでとう。

いよいよ待ちに待った啓明学院での中学校生活が始まりますね。

少し肌寒い朝となりましたが、皆さんの入学をお祝いするかのように、校内の桜も咲き誇っています。晴れがましい面持ちの皆さんにこうして会うことができて、嬉しく思っています。

皆さんも小学校では、この二年間、コロナに翻弄された生活だったと思います。これからも基本的な感染症対策は継続していきますが、皆さんの豊かな学校生活を、この啓明を舞台に、思いっきり過ごしてほしいと願っています。これから、その制服で、この校舎で、今ここにいる同級生や先輩達、そして先生方と共に、充実した毎日を過ごしていきましょう。どうぞよろしくお願いします。

 

保護者の皆さま、お子様のご入学おめでとうございます。

数ある選択肢の中から、大切なお子様の学び場として啓明学院を選びんでいただいた期待を、教職員一同、襟を正して受け止め、今日より、その成長の日々を共に歩んで参ります。

思いも掛けないことが起こりえるこの世界ですが、一人一人の生徒が、神様と人に愛される人間であることができるよう、そして自立した人間として与えられた多くの才能と力を活かして歩めるよう、ご家庭と連帯しながら、私たち教職員も心尽くし、思いを尽くして参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、新入生の皆さん、啓明学院で学んでほしいことについてお話しします。これは毎年、新入生に伝えていることですが、これから始まる中学校では、三つのポイントをしっかり心に留めて学校生活に臨んでほしいと願っています。

 

一つ目は、「一生懸命に取り組むこと」です。中途半端では得られない喜びや達成感を、一生懸命に取り組むことは与えてくれます。一人一人が持っている力や能力は、皆、違います。しかし一生懸命に取り組むことは、皆、同じようにできるのではないでしょうか。

神様はそこを見ておられ、与えられるのが少ない力でも、一生懸命それを用いようとする人をますます豊かにされるということが、聖書には記されています。だから、皆さんは、自分には無理だ、と思うようなことに出会ったとしても簡単には諦めないでほしい。そして、たとえ失敗があっても、へこたれず、何度でも粘り強く取り組むことを大事にしてほしいと願います。

 

二つ目は、「仲間と一緒に作り上げることを大切にすること」です。

啓明学院は、多くの人と力を合わせて目標を達成しようとする機会が非常に多い学校です。その経験は生涯の力となるからです。もちろん、一人でしなければならないこともたくさんあります。しかし、皆で協力する体験は、自分の力を発揮する時でもありますし、自分の足りない部分に気づく時でもあります。

実は、それが成長の瞬間なのです。その時を逃さないよう、授業で、行事で、キャンプで、仲間との時間を大切にしてください。

 

三つ目は、「時には自分のしたいことを我慢して譲ること」です。

私たちは、皆、自分が主人公の人生を生きています。皆さんは、代えのきかない、大切な唯一の存在です。だからこそ、自分だけになってはいけません。自分がそうであるように、他の人も大切な、大切な一人だからです。

啓明学院でしばしば語られる言葉に「自己中心から他者中心の生き方を」というものがあります。この言葉は今日もお越しになっていますが、啓明学院が共学校として歩み始めたときの校長である尾﨑八郎先生がいつもおっしゃっていたことです。

「僕が、僕が」、「私が、私が」の自己中心から、「君のために」、「あなたのことを」という他者中心へ考え方を移すとき、私たちが神様の願う世界を作る秘訣があるからです。

我慢ができるということは、理性があるということです。良い世界を作るためには、この理性が欠かせません。

人間が人間である理由ともなる、理性を持つ人として、皆さんには成長してもらいたいと願っています。

 

以上、三つのポイントをお話ししました。これらを心に留めた学校生活は、きっと皆さんを賢く、強く、たくましい人間にすることでしょう。それは、中学校に入った、というだけでない、心身共に本物の啓明学院中学校の生徒となる大切なポイントです。この三年間、しっかり心に留めてください。

 

皆さんの中にNHKの連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」を観ている人はいますか?

いろいろと心に留まることの多い作品だったのですが、この番組の中に、虚無蔵さんという時代劇俳優が出てきます。虚無蔵さんは大部屋俳優、つまり日の当たらないところで地道に頑張っている俳優さんなのです。彼の台詞には、ハッとさせられるものがたくさんありました。

その中の一つを紹介します。虚無蔵さんは若い俳優に稽古をつけているときに、こう言ったのです。「どこで何をして生きようと、お前が鍛錬し、培い、身につけたものはお前のもの。それは決して奪われることのないもの」

虚無蔵さんは、厳しい稽古にへこたれそうになっている若者を励ますために、唯一無二の自分自身を作り上げるために、今の苦労がどれほど大切か、こう訴えかけたのです。

「どこで何をして生きようと、お前が鍛錬し、培い、身につけたものはお前のもの。それは決して奪われることのないもの」

啓明学院での学びや経験は、皆さん自身の確かな柱となるものです。鍛錬や努力を怠らず、誰にも奪われない、自分自身の力を身につけてほしいと願います。

 

前向きな学校生活は、チャレンジの機会にあふれたこの学校で、きっと皆さんを大きく、大きく成長させることでしょう。チャレンジの先にある、新しい自分との出会いを皆さん自身も楽しみにしていてください。私も皆さんが成長していく様子をみるのが何より楽しみです。

さあ、いよいよ中学生活が始まります。共に集う、この仲間達と、啓明学院中学校の生徒として、その一歩を踏み出しましょう。どこに行っても同じだった、ではなく、啓明でなければならなかった、という3年間、6年間としてほしいと願います。

 

今、世界には平和を願いながらも、厳しい環境の中に置かれている人たちがいます。特に、連日報道されているウクライナでの戦争には、皆さんも本当に心を痛めていることでしょう。一日も早い解決を共に祈り続けましょう。

 

聖書には、「平和を実現する人々は幸いである。その人達は神の子と呼ばれる」と記されています。

 

平和を実現する、平和を創り出す人間となること、

それが神様からの期待である、と聖書は私たちに語りかけているのです。

 

そして、そのために求め続け、探し続け、門を叩き続ける皆さんであってほしいと願います。皆さんの歩みは、この世に平和をもたらす希望でもあることを私は信じています。その力と心を鍛え、育てる、中学生活としていきましょう。他の誰でもない、皆さん自身の良き歩みが、神様のお守りの中、豊かにあることを心よりお祈りしています。

 

以上で式辞を終わります。

 

指宿 力