KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

体育祭を終えて 「生」の実感、他者とのリアルな協働体験

2022年5月17日

先日、啓明学院としては初めてとなるグリーンアリーナ神戸での体育祭を無事行うことができました。保護者の方々のご理解とご協力のもと、実施できましたことを深く感謝いたします。ありがとうございました。

振り返ってみると、2020年度の体育祭は中止せざるを得ませんでした。また、2021年度は体育実技発表会として規模を縮小して実施しました。中高別に午前・午後に分けて行ったこともあり、生徒たち一人一人の出番は多く、楽しい行事とすることができましたが、保護者の方々にご覧いただくには難しいこともあり、非公開での実施でした。

こうした経緯もあり、2022年度は保護者の方にもゆっくりとご観覧いただけるよう、観客席が十分確保できる校外の施設を利用したものにしようと考え、そのころから保健体育科の先生たちと相談を始めていました。

 

かつて校舎が三宮にあった頃、啓明学院は繁華街の真ん中にありました。ちょうど今の生田神社の西側とNHK神戸放送局のあたりに南校舎、北校舎と呼ぶ、離れた二つの校地があったのです。当時、全校生徒が体育祭を行えるグラウンドはなかったので、王子陸上競技場(現在の王子スタジアム)で実施していました。競技場の広いスペースを活用し、スタンドから見応えがある演技を行うねらいで、集団行動の「行進」に熱心に取り組んでいたそうです。

キャンパスが妙法寺に移転してからは校地も格段に広くなり、学校の施設での実施が可能となりました。2004年にグラウンドが人工芝となり、スタンドとナイター設備も設置され、体育祭は中高一体の全学的な行事として、ますます充実したものになりました。

しかし、コロナ禍における行事運営を考え、保護者の方々にも安心してお越しいただける体育祭にするために、再び校外の施設で行うことを決めました。最終的には、天候にかかわらず安定して実施できるグリーンアリーナ神戸で行うことにしたのです。

 

当日は予報通りの雨模様となりましたが、バスケットボールやバレーのプロリーグの試合も行われる素晴らしい施設を存分に使わせていただき、午前に中学生、午後に高校生の体育祭を行うことができました。

保健体育科の先生たちもグリーンアリーナ神戸での実施に向けた競技や演技の検討を早くから行い、これまでの取り組みを柱に、見応えのあるプログラムを作ってくれました。一体感の生まれる屋内で、観覧してくださった保護者の皆さんに十分楽しんでいただけたのではないかと思います。

 

仲間と協力をすることや頑張っている人を応援することが大切なことは、考えてみれば誰でもわかるものです。しかし、与えられた力を存分に発揮しようと懸命に頑張ることや、その末に得られる充実感や悔しい気持ちを味わうことは、実際の経験なくしてはありません。啓明学院が大切にしてきたのは、こういった五感や内面を揺さぶられる経験から生まれる「生」の実感であり、他者とのリアルな協働体験です。実際の経験が何よりの成長の糧であり、それこそが生涯、活きて働く力となるからです。

 

3年ぶりの体育祭で、生徒たちのキラキラとした輝きを観ることができました。一生懸命に走り、競技に熱中し、仲間と協働する、そんな姿を随所に観ることができたのです。それはまさに、出し惜しみすることなく与えられた力を存分に使う、そんな姿でした。開会宣言で「皆さんの一生懸命を観たい!」と言った私の思いが適いました。

生徒たちの姿を観覧席にお越しくださった保護者の皆さんと一緒に観ることができたことが本当に嬉しかったですし、1年前から計画してきた体育祭への願いが叶えられたようにも思い、涙も少しこぼれそうでした。

そこには、随分様々なことが緩和されているとはいえ、まだまだコロナ禍の影響を受けている中高の生徒たち一人一人の学校生活への前向きな姿勢を観ることができた喜びと、新しいことへのチャレンジをいとわない教師達の献身的な働きへの感謝も重なっていたようにも思います。

 

体育祭を終え、生徒たちは今週、中間考査に向き合っています。その準備や真剣に問題に取り組む姿もまた美しいと感じます。一人一人が神様に与えられた力を発揮できるよう、試験中、校舎の廊下を祈りながら(静かに!)歩いています。

今年度は宿泊を伴ったキャンプも実施を予定しています。基本的な感染症対策を続けながら、学校生活も通常化を進めています。聖書の教えを土台とし、深い学びと代えがたい体験を大事にする啓明学院の校風をこれからも守り、生徒たちの神様に祝福される成長の歩みを励ましていきたいと思っています。そして、生徒たちの、啓明生らしい一日一日の歩みを、保護者の皆さんと共に見守っていきたいと、心より願っています。

 

指宿 力