KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

プレゼンする力

2023年2月10日

降雪による休校のため延期された「学術研究」発表会(高3)が1月25日(水)に行われました。それに加えて、先週は中学と高校で、英語のプレゼンテーションを伴うコンテストが開催されました。

 

高校の「学術研究」発表会では、3年生が取り組んできた「学術研究」(探究型授業)で、とくに優秀な論文を書き上げたとして選出された20人から、上位の4人が登壇しました。

『カントが説いた「国際的な連合」と現実の国際連合の間にある共通点や相違点はどのようなものか』(前田 崇宏さん)、『陸上競技において日本人は黒人に勝つことができるのか』(岡野 優月さん)、『ディズニープリンセスは子供を洗脳するのか』(林 恵美さん)、『一夜漬けは本当に効率が悪いのか』(武貞 湧也さん)の4つの発表が披露されました。

各々に当てられた発表時間は7分ですので、その時間枠に収まるように、話す内容を厳選し、それを効果的に伝えられるように、視覚に訴える資料も作成しなければなりません。

4人は、ここに選出されただけあって、骨のあるテーマを設定していました。そして、非常に深く、広範囲に、よく調べていました。その内容をできるだけ凝縮して、わかりやすく伝えるための、プレゼンする力が鍛えられていました。指導を担当した教師達と共に作り上げてきた発表は、さすが啓明生、とうなるようなものでした。

発表についての質疑応答の時間では、積極的に質問しようとする生徒も目立ちました。オーディエンスも能動的に参加する発表会は、とても活気があるものでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、中学生のスピーチ、プレゼンテーション、高校1年生のプレゼンテーション、そして高校2年生のディベートのコンテストがそれぞれ開かれました。

これらは学年ごとの英語の取り組みです。中学1年生が自己紹介スピーチ、2年生が英語落語、3年生が日本文化についてのプレゼンテーションを行いました。

1年生は、自分の家族や好きなことについて紹介する、身振り手振りも入れながらの王道スタイルです。ある生徒は、楽器演奏まで取り入れていました。皆、堂々たるスピーチでした。

2年生は、古典落語をペアで実演しました。日本語字幕をスクリーンに投影してもらっていたこともあり、観ている人たちにも大変わかりやすいものとなっていました。出演者のコミカルなやり取りは、楽しいものでした。

3年生もペアで発表しました。夏祭りや和菓子、アニメ、関東と関西の違いなど、それぞれが決めたテーマについて、どのチームも、映像も駆使していました。英語の力量はもちろんのこと、明るく、全体を巻き込むパフォーマンスは圧巻でした。また特別枠に出演した、英語アドヴァンストクラスの生徒たちの発表は、ポテンシャルの高さを実感するものでもありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高校生のプレゼンテーションコンテストでは、高校1年生がSDGsをテーマに、1~2人で発表を行いました。SDGsについては、啓明学院でもそのゴールに向けた意識を高めながら、積極的に学びに取り入れています。このコンテストでは、発表者は設定された17のゴールからいくつかを選び、それについて ” What we can do? ” 、「高校生として、すぐにでも可能なことは何か」、そして「未来を担う1人の人間としてすべきことは何か」との問い立て意見を述べました。時には大きなジェスチャーも交え、考察した多面的な課題解決への歩みをプレゼンしてくれました。

高校2年生はディベートコンテストを行いました。ディベートは、個人の考えを主張するのではなく、与えられた設問について、賛成か反対かいずれかに割り振られ、その立場で討議するものです。それを英語で行うには相応の英語力が必要です。また、かなりの事前準備をしなければなりません。

2年生の4人組、4チームが出場の機会を与えられ、準決勝、決勝を戦いました。ディベートのテーマは、「長期休みに宿題を出すのはやめるべきか」、「日本も9月入学を導入すべきか」などでした。勝ち負けがつくというので、事前準備のために校長室にまで来て、私にも意見を求めたグループもあったなど、各チーム、かなり気合いが入っていました。コンテスト本番では、文字通り、丁々発止のやりとりが英語で繰り広げられました。いずれのチームも、あらかじめ用意してきたプレゼン資料を効果的に使い、非常に見やすいものとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学年ごとに取り組んでいる内容は異なりますが、こうして皆の前に立ち、発表を行うことは簡単なことではありません。長い時間かけて準備をし、練習をしたことでしょう。ご家族に協力をいただいたこともたくさんあったことと思います。

そのような中で、生徒たちが内容も振る舞いも見事なプレゼンテーションをしてくれたことは、大変誇らしいものでした。教師達と積み重ねている日々の歩みが、こうして学年を追うごと様々な力を大きく育んでいることを実感するものでもありました。

 

英語のコンテストでは、非英語圏からの帰国生、そして啓明学院中学校で英語の学習を始めた者もたくさん出場していました。もちろん英語圏で生活をしていた生徒には、ネイティブなみの英語力を持っている者も少なからずいます。その生徒にしても、度重なる挫折と懸命の努力があったからこそ、英語力が向上し、さらに学びを深められているのです。そして、そのような生徒たちと共に学ぶ中で、大きな刺激を受けて積極的に英語に取り組むようになり、グングンと実力を伸ばしている者もこうして大勢いるのです。

学年が上がると、英語の力が上がるだけではなく、プレゼンの力や探究心が高まっていきます。これは、多彩で多様な生徒がいる日頃の学校生活で、生徒たちが互いに影響を与え合いながら、課題に前向きに取り組んでいることの成果だと思います。

一人一人が持っている可能性を信じ、励まし、共に歩んでいる教師達の熱意は、生徒たちの心に火を付けます。だからこそ、時に驚くような成長を生徒たちは見せてくれるのでしょう。

 

今回紹介したプレゼンテーションは、どれも一朝一夕にできるものではありません。学校生活での体験や学びが一人ひとりの内に涵養し、ゆっくりと育っていき、宿った力が発揮されたものなのでしょう。

こうした機会を通して、生徒たちの力を目の当たりにすることは、啓明学院に勤める我々の喜びでもあります。なんとも素晴らしい啓明の生徒たちの姿よ。そのようなことに、感謝の思いを募らせる1週間でした。

 

 

指宿 力