校長コラム

文化の秋

2020年11月17日

先週末は明星祭(文化祭)でした。

 春の時点ですでに例年通りの実施は不可能と判断していました。しかし、クラブ活動再開後、生徒の舞台演技だけでも何とか実施させたいと思い、密を避けるため大きなホールをお借りすることで計画を始めました。ちょうど神戸文化ホールも予定していた日が空いているとのことでしたので、その前々日からお借りすることになり、そこに照準を合わせた各クラブの取り組みが始まりました。

当初は生徒が入ることが出来れば御の字、と考えていましたが、状況の変化と共にホールの利用規制も少しずつ変わっていきました。最終的には出演者のご家族のみ二名までという制限はありましたが、保護者の方々にも観覧いただくことも出来、充実した内容の演技発表となりました。

今年は試合やコンクールが軒並み中止となり、学校でも体育祭も合唱コンクールも出来ないという中で生徒たちには我慢を強い、本当に辛い思いをさせて来ましたが、当日の実際の演技は何とかこの舞台だけは思いっきりやらせたいという顧問やコーチの皆さんの熱い指導が十分すぎるほど伝わるものでした。午前午後に分けた二回公演、しかも例年に比べて各クラブの割り当て時間が短縮されるという制限の中でしたが、そのような大変さを感じさせることのない、若々しく、これまで溜め込んだ思いたっぷりの演技を生徒たちはそれぞれに披露してくれました。そして、その中でも思わず目頭が熱くなるタイミングがありました。

今年、念願の部に昇格したコーラス部は学校における合唱の規制が厳しくなかなか練習を再開できなかったのですが、明るく、落ち着いた雰囲気でハーモニーを重ねてくれました。

ダンス部は激しいヒップホップの曲調が続く中、最後は高校3年生のメンバーだけでしっとりしたバラードを優雅に踊りましたが、ゆったりした曲調は足に怪我をしていた仲間を舞台の中心に立たせるための演出の一つでもあるように思えました。

チアリーディング部は9月に入部したばかりの中学1年生も参加する大所帯の演技を披露してくれました。スタンツと呼ぶ、アクロバティックな演技が規制され基礎練習の時期が長く続いていましたが、当日は見事に難度の高い技を繰り返し披露してくれました。

吹奏楽部も全体で練習する合奏の機会がなかなか持てずにいたようですが、こちらも大所帯が思いをひとつにして、困難を乗り越えてきたように思いました。ソロを担当する生徒たちの演奏力が非常に高く、聴き応えがありました。

それ以外にも、軽音楽部の流行曲を取り入れた楽しい演奏は、思わずギターを持って一緒に舞台に立ちたくなりましたし、関西大会で入賞したというバトン部のピノッキオの楽しい演技は見応え十分でした。演劇部のコミカルな演技(特に主役の赤タイツ姿!)ながら難解な物語は全校生の知的レベルを上げてくれるものでしたし、伝統文化部箏曲の「鬼滅」まで取り入れて最後まで楽しめた演奏は非常に心に染みるものでありました。そして幕間の放送部員による掛け合いトークは素人感のない楽しいものでした。何より出演者皆が演者に徹していて、観ている人たちを楽しませてくれたことは、これまでのどの文化祭にもひけを取らない素晴らしいものでしたし、裏方として進行を支える多くの部員がいたことも充実した舞台演技の力となったことでしょう。

翌日は校内でのオンライン文化祭でした。例年ならば模擬店が建ち並び、近隣の方々など様々な方にお越しいただく賑やかな一日となりますが、今年は各クラスにおいてプロジェクターを介して行われました。実行委員会が長い時間をかけて準備したことがよく分かるクイズ大会や動画披露などがありましたが、いずれもITを駆使して行われ、生徒たちの高いスキルを感じる一日でもありました。

美術授業で作成した生徒作品の展示や文芸部の作品集「白昼夢」販売など、文化的な取り組みの成果を披露する機会も出来る範囲で実施していますが、いつものように大勢の方々に観ていただくことは難しい状況です。それでもこうして文化の「火」が校内のあちこちに確実に灯っており、それが文化祭のような発表の機会を通してレベルが一段と上がることを感じます。それは他の生徒たちにも伝播し、それぞれの感性の奥深いところに届き、知性や美意識の源泉となっていくことでしょう。そういった意味でも文化的な行事の意味深さをこれまで以上に感じる今年度の明星祭となりました。まだまだ元通りの学校生活に戻ることは難しい現状ですし、中止や延期を判断せざるを得ない行事もありますが、様々な機会を通して生徒たちの持っている力を十分に発揮することの出来る学校でありたいと願います。そのためにも生徒、保護者の皆様、教職員が心を合わせ、思いと知恵を尽くし、共に歩む啓明学院でありたいと願っています。

 

指宿 力