KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

アドヴェンド

2020年12月11日

期末考査が終了し、少し生徒たちもホッとしている雰囲気も漂う啓明ですが、現在、キリスト教の暦ではアドヴェントの時期を過ごしています。アドヴェントは「到来」を意味するラテン語から生まれた言葉ですが、クリスマスが定着した5世紀以降、主の御降誕を待ち望む期間として定着したそうです。

この期間はクリスマスを迎える準備の期間でもあり、慎ましく暮らすことが求められ、かつては断食をして過ごすこともありました。イエスの受難の出来事を重ねた痛みを伴う経験を経て迎えるクリスマスは、いっそう華やかで喜びの時となったのです。今に伝わるクリスマスのディナーやプレゼントの習慣がそういった中で形作られていることにも思いを馳せながら、落ち着いた気持ちでクリスマスの準備をするこの時期を過ごしたいものです。

また、アドヴェントはクリスマスを迎える前の四週間のことを指しますが、ツリーやリースなどはこの時から飾り始めます。(ちなみに片付けるのは1月6日とされています。この日は東方の博士たちが星を頼りに幼子イエスのもとを尋ね、黄金・乳香・没薬という三つの宝物を献げたことを記念する公現日もしくは顕現日と言われる記念の日です。)

今年は11月29日がアドヴェントの始まりの日でしたが、この日を境に校内のあちこちに飾り付けがなされる中、校長室の入り口にも小さなリースを飾ったところ、翌日には事務職員の方々からせっかくだからツリーも飾りましょう、と提案いただき、素敵なクリスマスツリーを飾っていただきました。校長室を覗く生徒や先生方にも好評であることを嬉しく思うと共にとともに、このように校内にあふれる暖かなクリスマスの雰囲気の中に育つ生徒たちの心に、良い経験としてクリスマスが刻まれることを願っています。

この時期、チャペルには毎年アドヴェント・クランツが置かれ、クリスマスの彩りをいっそう強くしてくれています。アドヴェント・クランツは円状に丸められた枝にろうそくを四本立て、アドヴェント期間中、一週ごとに火をともすろうそくを増やし、クリスマスを迎える思いを高めるものです。もともとは19世紀のドイツで始まったと言われ、当時はクリスマスまで毎日1本ずつろうそくを灯していたそうです。

今は4本中2本目のろうそくをともす時期を過ごしていますが、このように目に見える形でもクリスマスが近づいていることを生徒たちは感じてくれていることでしょう。そういった学内にあふれるクリスマスシーズンの飾り付けが、それぞれの心象風景として温もりを持つものとしていつまでも残ることを願うと共に、自分にも神様の愛が豊かに注がれていることに気付く機会として欲しいと願っています。そしてそれとともに幸せなクリスマスの経験が、それを迎えることが難しい人たちのために、自分が何をすればよいか考えたり、気付いたりするきっかけとなればとも願います。

今年の学院クリスマス礼拝は、保護者の皆さんや一般の方をお招きすることは叶わず、学内でのオンラインを中心としたものになりますが、それでもクリスマスの訪れを皆で迎える、楽しく思い出に残るものとしていきたいと考えています。そして、この礼拝の機会に皆でお献げするクリスマス献金が、神様のご用のために働かれている様々な施設や事業のために用いられることを覚え、生徒教職員共に準備をして備えたいと願います。一般の方々や保護者の皆さんからの献金も合わせ、年明けにお送りする予定ですが、これもまたキリスト教を建学の精神とする学校の大切な働きです。ご理解を賜りたく願うと共に、暖かい思いを持ってご家庭でも準備、ご協力をいただくことができれば幸いです。

思いもかけない2020年の歩みとなりましたが、皆さんの上に神様の豊かな恵みとお支えがあることを心より祈りつつ、このような中でも東方に輝く星が告げ知らせたイエスの降誕の喜びを分かち合うことが出来ればと願います。どうぞ良いクリスマスをお迎えください。

 

指宿 力