KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

高校卒業面接

2021年2月8日

いよいよ高校卒業式が間近となってきましたが、啓明学院では卒業するための規定に、成績基準を満たすだけでなく、校長面接(卒業面接)を受け、啓明の卒業生として相応しいと認められなければならない、ということも記されています。

校長面接は、生徒にとっては卒業のためのイニシエーションでもありますが、校長にとっては生徒一人一人の成長を確かめる貴重な機会でもあります。先日行った卒業面接は、今年度校長となった私にとって初めての経験でした。彼ら彼女らと話す時間はとても楽しく、あっという間に感じるひとときでした。

 

今年の高校3年生は、1年次までは私が学年主任と担任をしていましたので、全員の顔と名前は当然のこと、これまでの学校生活への取り組みや家族構成など、個々のこともよく知っています。かつて幼く感じられた生徒たちが、目を輝かせて高校生活を振り返ったり、大学生活への希望を語ったりする姿には、本当に大きな成長を実感し、私の心にもたびたび胸に熱いものがこみ上げてきました。

 

一人一人の話を聴いていると、皆それぞれに多様な高校生活を送ったのだな、と思う一方、啓明生ならではの共通した価値観や感性を感じることが多々ありました。それは、皆の中に、自分は人の役に立ちたいのだ、この世界が少しでもよくなるように貢献したい、という思いが溢れている、ということです。啓明学院でこれまで培った力、そして進学先でこれから養う力、それらを用いて困難な状況にいる人を支える仕事がしたい、自分の時間を投じたい、という決意を大勢の生徒たちが語ってくれました。

 

これから新たな歩みをなそうとする3年生が、自分の力を他者のために、世の中のために役立てたいと真剣に語る姿に、未来は明るいと心から思いました。ここしばらく続いてきた新自由主義的なグローバリズムは「今だけ、カネだけ、自分だけ」の利己的な考えを持つ人が増える原因となったように思います。また近年の格差の問題は、ものごとを功利的に考えがちな世相を生み出す一因ともなっています。

 

そのような世の中にあっても、他者のために奉仕しようとする純粋な思いを持ち、まだ何者でもない自分の力をどうにかして社会のために活かすことが自分に与えられたミッション(使命)であるという価値観を心の深いところで共有しているのが啓明生なのだ、ということを改めて確信したのが今回の面接でした。

 

願っていたような部活動の締めくくりが出来ずに悔しい思いをしたり、行事の数が減ったりと、思い通りに行かない最終学年を高校3年生は過ごしてきましたが、それでも啓明での日々がどれほど豊かで、充実したものであったか感じさせてくれたことも面接の大きな喜びでした。卒業までもうあと2週間ほどですが、残された日々を愛おしみながら、当日は晴れやかな思いで送り出すことが出来ればと考えています。

 

指宿 力

 

高校卒業面接(12月実施)