KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

啓明学院が大切にしていること (1学期始業式のメッセージ)

2021年4月5日

生徒の皆さん、おはようございます。

 

いよいよ4月、新学期が始まりました。すでに4月1日に入学式が行われ、新しい新入生と中学の編入生が加わり、中学513名、高校748名、合わせて1261名の在籍となりました。どんな一年にしようか、心弾ませている皆さんだと思いますが、心残りを作ることのない、誠実で前向きな、啓明生らしいチャレンジ精神を携えた学校生活に取り組んで欲しいと願っています。

 

ただ、皆さんも分かっているように、最近また陽性判明者数が増え、来週月曜日から1ヶ月間、緊急事態宣言に準じた「まん延防止等重点措置」が兵庫県でも取られることになりました。啓明学院でもこれまで続けていた感染症対策を丁寧に続けていきますが、皆さんも学内での生活を注意深く行いましょう。手洗い・うがい・マスクをきちんとすることはもちろん、昼食時などにも、常に「もしかしたら」という気持ちを忘れることなく、ガイドラインやルールを守った生活を心がけてください。

 

去年の今頃、丁度、最初の休校が明けて何とか入学式を行い、いよいよ新年度が始まるというタイミングで再び緊急事態宣言が発令され、休校へと突入しました。あの頃、先生方には慌ただしくオンライン学習の準備を始めてもらい、メアリーホールなどに集まりながら研修会を重ね、端末の準備が出来た学年から始めていったものでした。私も校長として学校再開に向けた準備を整えるようガイドラインを作ったり、どうすれば安全な学校運営ができるか考えたりしましたが、すぐに用意してもらったものの一つは、先生達が授業をするときに大きな声を出さないで良いようするポータブルのマイクでした。取りかかる時期が早かったのでいくつかのサンプルの中から一番良いものを選び、先生の数だけそろえることができました。また教卓に飛沫防止シールドも必要と考え、佐藤先生や加藤先生とサイズを相談し、アクリル板を取り寄せました。二人の先生は休みを返上して、自作してくださいましたが、その時の様子を私はiPadで撮影し、iMovieで短い動画にまとめ、ごく短期間、ホームページにアップしました。見ていない人も多いようなので、今日、皆さんに紹介しましょう。それではお願いします。

 

動画を視聴

 

動画にはあまり映っていないのですが、佐藤先生が整理する役割分担をされ、アクリル板を折り曲げる工程は美術教師の加藤先生が担当し、丸一日掛けて全校分のパネルを完成させてくださいました。今、教卓の上にあるものがそれですが、そのパネル一つにも安全な学校生活を願う思いと、そのために動かした手の働きがあるのです。今、皆さんが学校生活に臨むことができていることは、そういった思いや作業の積み重ねがあることを覚えて欲しいと願います。そういったことも感謝を持って受け止め、物は大切に使う、ルールはきちんと守る、そういう気持ちを大切にして、この時期の学校生活に臨んで欲しいと願っています。

 

もちろん、こういったことはコロナ対策のために用意された物にだけ当てはまるのではありません。教室にある物、学校にある物はもとより、クラブや行事でさえ、すべて皆さんの先を歩いた先輩達から受け継いだものでもあります。啓明学院自体も、宣教師ランバス先生の、日本へのキリスト教伝道のあつい思いによって始められたものであり、その精神を私たちは継承していかなければなりません。そしてもちろん、皆さん自身もご家庭の方々の温かな思いを注がれ、大切に育てられているかけがえのない一人一人です。その背景を思うと、心ない言葉を他者に向かって発することが、どれほど罪深いものであるかが分かります。人の心を傷つける一言は、背後にいる全ての人の心にまで無限に増幅してしまうからです。

 

また、啓明生の合い言葉はチャレンジというほど、生徒も教師もチャレンジすることを大切にしていますが、そんな学校であることができるのは、安心してチャレンジできる風土があるからです。チャレンジしようとしている人に向かって、「お前にはそんなチャレンジは相応しくない」とか、「君にできるわけないやろ」と揶揄する人がいたら、どんなに機会を作ってもチャレンジする人が誰もいなくなってしまいます。それは啓明学院の精神を根底から否定することになるわけですから、けっしてあってはならないことだということは、誰もが分かることです。チャレンジの成功や失敗が重要なのではなく、チャレンジしようとすることによって、自分の人生を積極的によいものとしようとすることが重要なのです。そのためにも、他の人がしようとするチャレンジの足かせになってはいけません。むしろ躊躇している仲間がいれば、一緒に考え、背中を押してあげる人になりたいものです。

 

今日、最初にお話しした通り、物を大切にすることには、それを作ったり準備したりした人のことを思うことです。また、人の心を大切にすることは、その人の人格を尊重することであるとともに、その背後にいる人のことを思うことであります。そしてチャレンジ精神に満ちた活き活きした学校を作ることができるのは、皆さん自身が作り出す雰囲気でもあるのです。年度の初めに当たり、どうぞ皆さん一人一人がこの啓明学院を舞台に安心して過ごすことができ、健康で、チャレンジ精神を思いっきり発揮できる学校であり続けるために、大切なことを共有したいと願い、このお話しをしました。様々な違いを持つ人たちが、皆、自分らしく、活き活きと啓明学院での生活を送るために、このことは本当に大切なことです。

 

今年度も、気持ちよい挨拶が校内に響き、お互いを大切にし、安心できる雰囲気の中、一人一人が自分らしく歩める、啓明学院でありたいと強く願います。それが、神様が望まれる啓明学院のあるべき姿であり、これまで綿々と受け継がれてきた伝統です。その伝統の継承者としての今年の歩みがいよいよ始まります。皆さんの充実した学校生活を本当に楽しみにしています。よい一年としましょう!

 

 

指宿 力

 

 

 

校長コラムは、月に2回程度、メッセージを掲載する予定です。