KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

保護者のお支えに感謝して

2021年4月15日

啓明学院の位置する須磨区妙法寺地区は、今ではすっかりニュータウン化していますが、もともとは旧街道沿いに栄えた村落でした。近くには化石の採掘で有名な白川累層があり、かつての人気のスポットでもあったようです。

また、今でも学校周辺は六甲連山から明石海峡へと抜けていく新鮮な風の通り道で、たいへん空気のきれいな場所です。明治後期からから昭和初期まで、この辺りにはいくつかの結核療養所が建てられていたことからも、昔から環境が良かったことがよく分かります。(ちなみに結核を表す手話表現は、須磨を表すものとしても使われています)

その一方で、きれいな空気を山あいから届けてくれる風が、時折強く吹きすぎることもあり、グラウンドやテニスコートで活動する運動部員達が、風に流されるボールに苦労している姿を見ることもあります。公式戦では、試合の行方さえ左右しかねない風が吹くこともあり、慣れているはずの啓明生も数々の試練を味わってきているようです。

最近、南側テニスコートに、ソフトテニス部の保護者の方々がコートの端に頑丈な日よけを作ってくださいました。これからやってくる強烈な夏の日差しを避ける場所を作るために、皆さん、休みを返上して組み立ててくださったのです。完成した日よけは、この地域特有の風に負けない強度を持ったしっかりした作りになっており、その出来に感動を覚えました。そして、それはもちろんご自身のお子さんたちのクラブ活動のためと思ってのことではありますが、こうした保護者の思いに学校全体も支えられていることを改めて感じ、感謝に満たされる思いでした。

 

 

 

かつて私が顧問をしていたタッチフットボール部でも、部室として使用していたコンテナの中に、立派な防具整理用の棚を作っていただいたことがあります。一昨年の台風被害によってコンテナを入れ替えるときに、どうしても取り出すことが出来ずに残念なことになってしまいましたが、それだけ頑丈な作りの立派な棚で、大変な労作の上に完成したものでした。

もちろん生徒たちの活動に必要な物を整備していくのは学校の責任でもありますし、現在の啓明には充実した設備が整えられています。それでも保護者として気がつかれた様々なことをそっと整えてくださる、そんな思いに私たちは支えられていることを、このようなことを通して気付かされます。

他にも前島キャンプの椅子づくりなど、今も形になって残っている物もあれば、クラブ運営において受け継がれる伝統として残っているようなこともあると思います。もちろん保護者の皆さんの活動である育友会活動は、その最たるものです。そうした一つ一つに、これまでの保護者の方々の「学校を支えるよ」という思いが込められており、今もこうして生徒たちの日々の歩みを大きな力になっていることに、感謝の思いは尽きません。そして今の保護者の方々もそうした思いを引き継いでいただくばかりでなく、更によい学校の歩みに繋がるご助言やお支えを献身的に注いでくださっていることに触れるたび、私たちは良い繋がりに支えられていることに気付かされるのです。

こうした私学特有の、教師だけではなく、生徒自身、そして保護者の皆さんが一体となって学校を作り上げようとする気運が、良い学校の証しなのだろうな、と思います。

そのような保護者の皆さんの思いが校内のあちこちにあり、今の啓明学院の姿になっていることに学校の歴史を思います。そしてそういったこと一つ一つに感謝しつつも、それに甘えることなく、さまざまな期待にも適う学校でありたいと考えています。

2021年度もいよいよ始まりましたが、今の時期に特有の感染症対策をしっかりと講じつつ、生徒たちが啓明学院の大切にしているマインドをしっかりと携えて成長していくことが出来るよう、保護者の皆さんとも思いを合わせて歩む学校でありたいと考えています。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

指宿 力