KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

校長コラム

中学校入学式 式辞

2025年4月7日

新入生の皆さん、啓明学院中学校ご入学、本当におめでとうございます。

 

新入生の皆さんは、これまでは私服で過ごしてきた人がほとんどだと思います。これから皆さんが毎日着ることになるのがその制服です。皆さん、初めて袖を通した時はどんな気持ちだったでしょうか。真新しい制服をまとった皆さんの引き締まった表情に、これからこの制服を着て、啓明生として頑張るぞ、という思いが溢れているように思います。

今、多くの人が少し大きめのサイズを着ているのではないでしょうか。やはり制服とはそう買い替えるものではありません。12歳というのは、これから体が大きくなる人がほとんどですので、注文したときに大きめのサイズを買っている人が多いことでしょう。
少しブカブカであっても、そのうちジャストサイズになるかもしれません。着られている状態からカッコよく着こなしている状態になることも、そう遠いことではないでしょう。

 

さて、衣料品店のユニクロというと知らない人はいないのではないかと思います。服の販売においてはなんと世界第3位、日本では1位のファーストリテイリングという会社のブランドの一つです。
それだけ大きな会社になったにはいろいろな作戦を立てて、事業を行っているからですが、その作戦の中に社員を育てる言葉として「大きい服を着せる」というものがあるそうです。大きい服とはまさに今の皆さんの制服そのものですが、ユニクロでは、その人の今の力よりも大きなチャレンジを与えるということで使っているそうです。
今の自分には無理だ、と本人が思っているようでも、身の丈を超えたチャレンジを与えることで人は成長するという確信を持っているからこそ、会社はそういうチャレンジの機会を与えるのでしょう。

その考えでいくと、大きめの啓明学院の制服を着るということの中にも、単にそのうち体のサイズが服に合ってくる、ということだけでなく、中身も啓明の生徒にふさわしく成長するという意味があるということになりますね。
ここで言う中身というのは、思いやりや優しい心、人を大切にしないことを許さない正義感、友達の困り事や世の中で起こっている難しいでき事を我が事と捉え、何とか解決の道を考え、行動しようとする前向きな人生を送ろうとする心意気、自分が望むようにではなく、神様が願う平和で公正な世界を作り出そうとする人格などのことです。これらすべては、すでにあなた自身が持っているものです。
そういったあなた自身を啓明生にふさわしく育てることが、今から始まる皆さんの大きなチャレンジなのです。
あなた自身をどんどん大きく、深く、分厚く、しっかりとしたものにしていくのが、啓明学院中学校高校での6年間の生活です。

 

また、ユニクロにはそこで働く人たちが命令されるだけのぶら下がって働く人になるのではなく、一人ひとりが社長さんのような思いを持って積極的に働くための約束事を書いたノートがあるそうです。それは「経営者になるためのノート」というそうです。そこにユニクロが大きな会社になり、どんどん成長していっている秘訣が書いてあるそうですが、社員さんたちはそれを読み込んで、会社の方針を自分のものにしていくのでしょう。
でも啓明学院の生徒には「啓明学院の生徒になるためのノート」はありません。それはマニュアル化して判で押したような人間を育てることが啓明の教育ではないからですし、私も皆さんをこうすれば成功するよ、と言われた方向に進みたがるような人間になってもらいたいなど全く思わないからです。

啓明学院は、体験を通してすることを大切にしています。やってみなければわからないことがある、ということです。
啓明学院に入学したら、啓明学院の生徒はどういうものであるかは自ずと分かってきます。たとえば挨拶をします。女子校時代から続く啓明の伝統です。皆さんはその伝統の継承者です。先生や仲間はもちろん、来校された方々や保護者の方々にも元気よく挨拶をします。そして挨拶のもたらす様々な効用を体感的に学んでいくのです。

 

学校が作られたときから大切にしている精神を建学の精神といいます。啓明学院の建学の精神はキリスト教です。皆さん一人一人が手にする聖書の言葉を大切にしています。
ですから学校生活の中で、礼拝や聖書の授業などはもちろん、様々な場面で聖書の言葉を学びます。
聖書の言葉や描かれるストーリーはすぐに意味が分からないかもしれません。すぐに意味が分からなくても、いつも身近に聖書を置き、その言葉に触れ続けてください。
少しずつかもしれませんが、その言葉から啓明学院の生徒がどのように生きるべきか、ということがわかっていったり、神様から自分自身が本当に多くのものを与えられているか、期待されているかということに気づいていくことでしょう。
啓明生になるためのマニュアルはないけれど、学校生活を通して、皆さん自身の心や思いの中に啓明学院がどういう人間を育てていこうとしているかが分かっていくはずです。

 

そして啓明学院には建学の精神と共にスクールモットーがあります。スクールモットーは建学の精神を実際に表す言葉です。啓明のスクールモットーは「手と心は神様と人に仕えるために鍛えられる」というものです。啓明学院は神様と他の人に奉仕する人間になるために手と心を鍛える学校だよ、ということです。
それは世の中を、聖書の神様が願っておられる、平和で、公正な、そして安心して暮らせるようなものにしていくために共に生き、共に学び、共に創り出す人となるための力をつけていく学校であるということです。
このスクールモットーは、皆さん一人一人に神様が期待してくださっているミッションです。ミッションとは、これは使命とか任務とかを意味する言葉です。皆さんにはミッションが託されているのです。
そのミッションを果たす人になるためにも、チャレンジの機会に満ちたこの啓明学院で、皆さん一人一人が自分に与えられた力と心と体をしっかりと鍛え、好奇心をいっぱい持って、中学生活を送ってほしいと願っています。もし弱い自分が出てきたり、迷ったり、悩んだときはいつでも今の自分の思いを思い出して再スタートを切ってください。

 

さあ、いよいよ中学生活が始まります。共に集うこの仲間達と啓明学院中学校の生徒としてその一歩を踏み出しましょう。そしてどこに行っても同じだった、ではなく、啓明でなければならなかったという啓明学院の学校生活を過ごしてほしいと願います。皆さんの歩みが私たちの、そして世界の希望となるのです。共に頑張りましょう。

以上、式辞といたします。

 

 

2025年4月2日

指宿 力