
2025年1月8日
3学期始業式のメッセージ
明けましておめでとうございます。新しい年の訪れを共に喜びたいと思います。この2025年も生徒の皆さん、教職員の皆さん、一人一人にとって良き年となることを心より祈っています。
今日読んでもらった聖書の箇所は「テサロニケの信徒への手紙」でした。愛を持って心から尊敬し合うこと、互いに励まし合いながら善い行いをすることの勧め、いつも喜び、祈りと感謝を忘れないでいることを皆さん、一人ひとりと心に刻みたいと願い、選びました。この聖句にある生き方をこの1年、目指していきましょう。
年末年始は天候も穏やかでしたし、日本では大きな災害もなかったので、安心して過ごせた人も多かったと思います。ただ、年末の韓国での飛行機事故や、昨日のチベットでの大地震の報道などを聞くと、大変な思いをしている人がいることに改めて気づかされます。戦渦の中に置かれた人々の報道には心を締めつけられます。
また昨年のお正月に能登半島で起こった災害が、今なお厳しい状況を作り出していることを様々なメディアが頻繁に取り上げていましたが、今年も私達ができることを考え、行っていくことができればと思います。
クリスマスに皆で捧げた献金も一つ一つは大きな額にはなりませんが、啓明学院としていくつかの施設や団体に捧げていくことになります。また皆さんにも献金先は伝えられますが、こういったこともキリスト教主義学校として大切にしていきたいと思います。
さて、皆さん承知の通り、今年は巳年、へび年です。干支の中では、へびはあまり人気のない生き物のように思いますが、どうでしょうか。
先日、保護者の方から、勝利を祈る印として、飼っていらっしゃる白へびの脱皮した皮の一部をいただきました。皆さんの中にも、ペットとしてへびを飼っているよ、という人もいるでしょう。
私が小学生の頃は近所にシマヘビなどがけっこういて、見つけるたびに捕まえて遊んでいました。しかし、その頃は触ることも平気だったのに、今ではなんであんなことができたのかと思うくらいへびが苦手になっていて、できれば見たくない生き物になってしまいました。へびが嫌いな女性も多いのではないかなと思います。私の母もすごく嫌っていて、捕まえたへびを持って帰った時、ひどく怒られたのを覚えています。
聖書の中では、へびは重要なキャラクターで、しばしば登場します。特に有名なのは旧約聖書・創世記のアダムとエバの物語において、女性であるエバを誘惑する狡猾な生き物として描かれるものです。そもそもは最も賢いものとして創られていたのに、禁断の果実を食べるようにエバをそそのかしたため、へびは地を這う生き物となり、女性が深い敵意を持つものになったとあります。女性との相性が悪いのはこの頃からなのでしょう。身近な生き物の蛇は、聖書のみならず、いろいろなところでモチーフにされやすい生き物でもあります。
干支の中に入っているのも、へびが神様の使いのように崇められたり、金運があがる象徴のように扱われたりするよいイメージもあるからでしょう。脱皮する生き物であることが、新しい自分を創ろうとする人間の成長のさまに重ねやすく、新しい年の明るい希望としてよいイメージをもたらしてくれる存在でもあります。脱皮するごとに、へびは強く、大きくなるのです。
そして古い皮を脱ぐというのは、弱く、小さな昔の自分との決別でもあります。そういう意味でもへびは私達一人ひとりの成長の過程を象徴的に表す生き物であると言えるでしょう。
皆さん自身は今年、どんなふうに成長し、大きく、強くなる姿を見せてくれるでしょうか。へび年の2025年、皆でこのことを覚え、自分の限界を狭めることなく、大きな自分へとあくなきチャレンジ精神を発揮する1年としていってほしいと願います。期待しています。
私もそのことを胸にこの1年を過ごそうと思っていますが、もう一つ胸に刻んでいることは恥をかくことを恐れないでいよう、ということです。失敗や人の目を気にしてやりたいことを諦めるのは、つまらないことです。失敗に失敗を繰り返しても、やり続けることで次の扉が開けるものだと思っています。
啓明学院は安心して失敗できる学校です。そんな啓明の伝統を、今の君たちがしっかりつなぎ、失敗を恐れず、目標を高く持ってチャレンジする学校の風土を一緒につくっていきましょう。よろしくお願いします。
指宿 力