
8月15日(月) Summer Project「芸術と伝統に触れる 染色体験」の様子です。
ワークショップを通して、モノつくりのプロセスの面白さを味わい、伝統の背景にある革新的な工夫を知り、日本の伝統について考えることがプロジェクトのねらいです。
高校生8名が参加しています。
嵐山の渡月橋を通って、著名な染色家である、志村 ふくみさん(人間国宝)が創設した「アルスシムラ嵯峨」へ向かいます。
志村 宏さんにご挨拶しました。宏さんはふくみさんのお孫さんです。
「紅花ハンカチ染」のスタートです。
志村さんは、3日前から紅花を漬けて、色素を抽出してくださっていました。
染物の香りを確認します。
紅花染は、米沢藩(山形県)で上杉家が発展させたそうです。歴史にまつわるお話を聴かせていただきました。
モノに関する知識が深まると、生活が楽しくなりますね。
袋に入れた紅花を押し出し、色素を抽出しています。
色味が変化しています。
色素をアルカリ性にして、再び紅花をもみほぐしていきます。
次に色素を酸性にします。
絹のハンカチを染めていきます。
絹の原料とされる蚕の種類は、1500もあるそうです。
1匹の蚕が生みだす生糸は1.5~2㎏だそうです。食べること以外にも、私たちは命をいただいて生活しているのです。
真っ白なハンカチを、色素を抽出した液に入れて着色します。
ハンカチを何度ももみほぐしていくと完成です。
同じ材料で着色しても、1人ひとりのハンカチの色が違います。
「素材に選ばれる」と、良い染めができるそうです。
自然の風と日光に当てて乾かします。自然の力を借りることが重要です。
綺麗に染まりました。
質疑応答の時間です。
染めた生糸を触らせてもらっています。
志村 宏さんは幼いころ、祖母ふくみさんが染色する姿を見て「魔法使い」のようだと感じたそうです。自身も魔法使いになりたいと思いながら、すぐには染色の道に進まなかったそうです。しかし、夢を持ち続けて、いまは染色家として働くようになったとおっしゃいました。
「どんな仕事であれ、夢を持ち続けること。そして、人間関係を大切につないでいくことが大事です。対価は後からついてきます。皆さんも夢を持つことを大事にしてください。そうして、モノを大切にしてください」と志村さんは語りました。
最後に記念撮影です。
伝統的な技法だけではなく、化学の世界とも調和をする。私たちはその恩恵にあやかって生きているのだというお話しが印象的でした。
世界で唯一のハンカチ、大切に使っていきます。