KEIMEI GAKUIN TOPICS BLOG

今日の学校

卒業講演会 (高3)

2021年2月4日

2月2日(火) 高校3年生向けの卒業講演会がチャペルで開かれました。

「差別について考える」をテーマに、前田春人さんを講師にお迎えしました。

前田さんは平村写真館のカメラマンとして、啓明学院の卒業アルバムの作成や修学旅行、前島・青島キャンプ、体育祭、文化祭など各種行事の撮影をして下さっています。

その前田さんが、1992年に南アフリカのアパルトヘイトを取材されたときのことを中心にお話をして下さいました。

前田さんは20代の頃「自分の目で世界を見てみたい」という強い思いから、一般的な就職はしないでフリーランスとして生きる決意をします。そしてパレスチナや中央アジア、ヨーロッパなど世界各地で取材を続けました。

数ある取材の中でも、前田さんの心に残っているのは、ネルソン・マンデラに率いられて、新しく生まれ変わる南アフリカの誕生の現場を記録したことでした。

差別が貧困を生むこと、貧困が犯罪の温床になること、黒人解放運動の分裂、マンデラのリーダーシップ、現地で目にしたおびただしい死、人々の怒り、政治・経済的な歴史的背景、子どもたちの姿などを、撮影された写真とともに解説してくださいました。取材の途中で、自身が強盗に遭ったことも話されました。

「なぜ命を懸けて、前田さんは仕事をなさったのでしょうか」という3年生からの質問に、「それは自分で決意したから」とおっしゃいました。続けて、「皆さんは、中学や高校入学直後に、前島キャンプで自分が決意したことを覚えていますか。まもなく卒業ですね、そのとき決意したことを達成しましたか」と問いかけられました。

「最も大切なことは One man, One vote.  つまり選挙権です。皆さんは18歳になれば選挙権を手にします。日本では政治的な議論は活発ではありません。選挙に無関心な人も多いですね。私が取材してきた海外の国では、政治について議論することは当たり前でした。社会をよくするために、ぜひ政治に関心をもってほしいのです」と、前田さんは講演を結ばれました。90分の講演時間があっという間に過ぎていきました。

前田さんの写真集「闘争の時代」(未来社、2021年)が今月、刊行されました。この講演を聞いたその晩、数名の教員がさっそく書店へ駆けつけ、購入しました。アパルトヘイト、ネルソン・マンデラ、民主化、2019年日本で開催されたラグビーワールドカップの優勝国、南アフリカ、皆さんはどんなことを想像しますか。

写真集「闘争の時代」には、この日の講演で見せていただいた作品が多数収録されています。この写真集を前田さんは啓明学院に寄贈してくださいました。パルモアライブラリーで閲覧できます。

皆さん、ぜひご覧ください。